2008年4月10日木曜日

ロケット発射台(로켓 발사대)-Jongbak


 自分が東京で写真を撮っているときのスタイルの一つは電柱の写真だった。それで、ソウルでも同じスタイルの写真を撮り続けている。
 写真を撮っていて、まずはじめにソウルの電柱が東京の電柱と比べて凄く魅力的だ感じた。その理由は、電線が途中から切れて垂れ下がっている、電線が電柱のところで無意味に円状に何重にも束ねてある、電線の数がハンパじゃない、はっきり言って雑、そのランダムさとノイズ加減、無作意作性が絶妙であることだ。
 自分はその予想を裏切るような風景を見て、猛烈な電線撮影モードのスイッチが入り、ノイズ風景の視覚要素が体をめぐり極上の時間を味わう。
 
大竹伸朗『既にそこにあるもの』

 何か引っかかるものというのは常に自分の予想が裏切られた瞬間にやってくるらしい。 そんなわけで僕が積極的に探し求める音は,ノイズ・ミュージックと呼ばれるものが多いのだが,それらの音の共通点には,やはり「裏切り」が必ずある気がする。……

「作意」が良くないというのではない。ただそこには大きな罠があるように思えるのだ。
ノイズ系の音が好きなのは,自分に作意が入り込もうとする余地を断ち切り,くだらない思考回路を麻痺させ,同時進行のそれぞれの地点が始まりでありそして終わりであるように感じさせてくれる「受信機」に自分を変化させてくれるからだ。 それがうまく行くと,スタート地点では予想もつかなかった遠い場所に自分が連れていかれ,こんなはずじゃなかったとあわてふためく結果に導く極上の触媒になってくれる。

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