2008年10月12日日曜日

韓国の市場はガラクタ小屋


 普通、日本人なら“市場”と聞いたら、威勢のいいおじさんが「安いよ~!新鮮だよ~!」という言葉が飛び交う賑やかな風景が目に浮かんでくると思う。また、韓国に来た経験のある人なら、南大門や東大門で安いものが模造さに並べられ、圧倒されたことを思い出すと思う。
 しかし、私が何箇所か行ったソウルの市場は様子が違っていた。人通りの多い場所は賑やかで良いのだが、一歩中に入ると不思議な光景を目にすることができる。
整理するとこうだ。
 ・建物は老化したバラック小屋の集合体。
 ・内部の通路は迷宮のような細い路地。
 ・ゴミの物置場と化している空き店舗が多い。
 ・人通りは少ないが、色々な日用品が販売されている。
 ・店員が店の奥で寝ている。寝ているのは老人が多い。
 ・いろんなものの片付けがなされていなく、清潔感がない。
 ・売っているものが新鮮なのかわからない。
 ・設備が古く、埃、油が堆積していて黒い。

 生き生きした印象が一切なく、半分死にかけたような、時代に取り残されたような空間、でも、それらのノイズが私を陶酔させ、次の市場探しをはじめてしまうのだ。
 住民はひとしなみに、“流民”であり、棟割長屋も、“作業用の仮小屋”にすぎないはずだ。実はこの点にこそ、スラム化現象をめぐる今日的な回答が隠されている。……仮小屋ならきれいにする必要もなく、広くする必要もないが、やがて人々はそこからの脱却が不可能なことを思いしらされるようになった。紀田順一郎『東京の下層社会』

 写真は犬の市場で有名なモラン市場から東側へ行った新興駅近くの市場の写真。

0 件のコメント:

コメントを投稿