2010年2月8日月曜日

写真展のテーマ-Photo exhibition content

 
3月3日から16日まで、ソウル市の文化街である大学路(テハンロ)の写真ギャラリー《空間-塁》にて開催される写真展のテーマの報告。
 
ノイズ -Noise
“街にはさまざまな〈からだ〉がある。なんでもない〈からだ〉はなんて面白いんだろう。一方、街から〈ノイズ〉が排除される傾向はより強まっており、無意識のうちに社会はノイジーな〈もの〉や〈こと〉を嫌悪する。街の〈からだ〉が本来持っているであろう魅力が嫌悪(=排除、差別)の対象になったらこれほど気味の悪いものもない。排除される〈ノイズ〉を擁護し、ノイジーな〈からだ〉の魅力を擁護するとき、表現に価する。”

日本の演劇家であり、評論家である宮沢章夫(MIYAZAWA AKIO)氏の言葉である。
 
彼のこの言葉は、私の都市風景の考え方を変えた。
そして、この言葉にインスピレーションを得て、都市風景をファインダーにおさめる生活がはじまった。
 
都市と人とノイズ
私は韓国に来る前は、日本の東京近郊に住んでいた。今、東京都心では六本木ヒルズをはじめとする巨大な都市開発が進み、その建物の周辺にはブランドショップや専門店、心地よい音楽を聴きながら、楽しい会話や食事を楽しむお洒落なカフェや飲食店が開店し、その魅力を求めて日本中から大勢の観光客が訪れている。 私は、その巨大化した空間の大掛かりな装置には一切〈ノイズ〉がなく、そこにいままで蓄積されていた記憶の痕跡までもが排除され、資本主義に翻弄された人々で溢れかえっているまがまがし光景に苛立ちを感じずにいられなかった。
 
都市は、過ぎ去って古くなったものを排除し、かつてその場所にあった記憶も人も物も新しくしていくが、その中には、置き去りになって、残っている古いものがある。しかし、それらは、いつのまにか人々の意識の中で排除され忘れさられ、都市の〈ノイズ〉となっていく。
私は、都市とは、新しいものと古いものがオーバーラップして出現する現象であり、それが本当の都市の魅力であると考えている。
 
人は常に、古いものを〈ノイズ〉として排除し、綺麗でありたいと考えている。しかし、私は、綺麗であることが、人の本当の魅力ではないと考える。きれいな化粧をしてきれいな服を着た人は、ある意味では、資本主義は、大量生産 "人形"に過ぎない。 私は、人が隠したいと思っている〈ノイズ〉を見たときに、人の本当の魅力を感じる。
 
韓国にて、職場生活をしながら、私は魅力的だと感じていたその〈ノイズ〉を発見することになった。
ソウル都心のあちこちに隠れているの〈ノイズ〉を発見し、そのノイズの視覚要素が体をめぐり極上の時間を味わい、その刺激を求め歩き、歩いた。
 
金属を切ったり削ったりする金きり音、オイルの匂い、山積みされた鉄板、ネジ、歯車。
使われて、使われて本物になっていく道具達。
小部屋のような小さな工場の中で働く人々。
生き生きした印象が一切なく、死に掛けたような市場や公園。
市場の中を走り回る貨物自転車、荷台、バイク。
まるで動きそうな生き物のように見える電線や配管。
 
私は、資本主義に翻弄された都市群集のヴェールを抜け出し、資本主義の残骸として残っている〈ノイズ〉を愛情な眼差しでファインダーに納めて、ソウルの本物の表現を読み取ろうと試みた。

2 件のコメント:

  1. 写真展されるんですね。
    この目でferengistanさんの写真みたいです!
    3月ですか。。今年は絶対ソウルに行くつもりだけど
    3月は行けないかな。。残念です。

    私もソウルのノイズ好きです。最近東京の下町に行ったのですが
    少しノイズが残ってましたよ。古すぎてノイズがフィードバック
    しちゃってる駄菓子屋がありました(笑)

    写真展頑張ってください!

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  2. sylvian さんコメントありがとうございます。
    展示会の内容等はブログでUPするので楽しみにしててください。

    東京のノイズは、下町以外にスリバチ(スリバチ状の谷戸)によく潜んでいますよ。そして、道案内する不思議猫も潜んでいます(笑)。

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