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地下鉄8号線の寿進(スジン)駅近くにあるソンホ市場の“王様の椅子”を撮りにいってきました。
“私は日本人の写真家です、椅子を撮らせてください”と声をかけると、市場の店主は快く対応してくれました。
ソンホ市場は、古くからの市場であるので、店主のほとんどがオジちゃん、オバちゃん。写真を撮り終わって、その場を離れると、“日本人の写真家だってー”と近所の人に言いふらすオバちゃんや、ただ笑顔だけで、わかったよと言うオジちゃん、ここは紳士服を売ってないよと声をかけるオバちゃんなど、みなさんの反応は様々であったが、良い人ばっかりでした。市場で声をかけて写真を撮るのは初めての経験だったので、緊張していた気持ちが和みました。
さて王様の椅子は、近くに家具屋が多いこともあり、バリエーションが多い。
(別途アップした写真)革張り風の風格ある椅子は食品雑貨屋の旦那椅子、放射状の曲線が美しい木製背もたれの椅子は食品屋の御婦人椅子、学校椅子スタイルでチェック模様の座布団が可愛い椅子は食品屋の御婦人椅子、牛のマークと包丁が見える椅子は肉屋の御婦人椅子、シンプルなパイプ椅子は婦人服屋の御婦人椅子、男っぽい事務椅子は紳士服屋の旦那椅子。
そして、極めつけの椅子は、オバちゃんが映っているこの写真の椅子。お尻を暖めるホットマット、毛布、枕、TV。寝れる、TVを見れる、寒くない、これが本当の王様の椅子だと思った。
韓国の古い市場は、建物がバラック小屋で通路が迷路状になっていて闇市の面影が残っている。そして、道路に面した店舗は商品を歩道に並べ、人が一人歩くスペースしかない。など、日本の市場では見られない光景を見ることができ、とても面白い。いままで自分は、ただその面白い光景の部分だけを興味本位で写真を撮ってきた。今回の王様の椅子の撮影で、市場の店主と片言ではあるが会話をし、今まで見えなかった魅力を発見した気がした。
※台東区の佐竹商店街にて活動をなさっている笑点街さま、御感想よろしくお願いします。