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視線は常にものごと(環境)への理解を求めている。
その理解を求める感覚が科学と芸術を創り出した。
科学は現視覚から生まれ、芸術は擬視覚から生まれた。
プリズムを私たちは科学を通して理解しているが、プリズムの芸術的表現を通して、現視覚と擬視覚が出会い、心と光が出会った。
そんなことを考えさせられました。
私たちの視線を線型に直進するものとみなせば、対象物の視覚像は並行する視線の束によって、対象物(像)が接触をうけて産み出された状態だと言えよう。これに対して、想像的な対象物のイメージ(像)は、視覚の束が対象物(像)に接触するのではなくて、対象のあらゆる場所にまったく等価に透過して産み出された擬視覚像にあたっている。『ハイ・イメージ論』吉本隆明