2010年9月28日火曜日

室外機団地

まる裸の室外機が並ぶと異様だ。
まるで自分の体の中の内蔵を見ているような。
機械も人間もその異様さは同じであると感じた。
そして、その異様さとは、名付けえない何ものかを、無条件で反射的に仮想の手(目)でつかんでしまう恐ろしさであると思えた。

2010年9月26日日曜日

タルトンネ体験

韓国のお盆にあたる秋夕(チュソク)に昔川崎市の文化センターで十数年働いていた韓国人と知り合いになることができた。

彼は油絵の先生で、現在韓国内で芸術活動を行いながら生活し、気さくな性格で、自由な精神の持ち主であるため、友人も多い。大学教授、写真家、美術家、舞踊家など様々だ。

私は彼の性格にひかれ、共にお酒も入ったことで、彼の家に泊まることになった。

彼の家は、ソウルの恵化(ヘファ)の北側の山麓地、山肌に無秩序に家が建ち並ぶいわゆるタルトンネ(月の町、貧民街)に位置し、なんと山の頂上に家があるため、ソウル市街地を一望できるのだ。(その家からの夜景、朝の清々しい眺望は格別だった)

以前から私はタルトンネの生活について関心を持っていたので、そこで貴重な経験をすることができた。

タルトンネといっても多少現代化されているものの、風呂はなく、炊事場にある小さなスペースで温水とタライで体を洗う、居間は4畳程度、押し入れもなく、天井の高さが低い、窓も必要最小限(たぶん冬の寒さ対策)。娯楽施設はTVとCDラジカセのみ。家の上には屋上があり、共同の物干場、家庭菜園、休息の場として利用されてる。

地理的に標高が一番高い場所にあるので、冬を除く季節はとても気持ちがよく、洪水の心配もない、湿気対策も不要、周りに幹線道路がないので静か、そして毎日最高の眺望、夜景、星空、月夜を楽しめる。家賃は日本円で格安の1万3千円。本当に月(タルトンネのタル)に近い天国のような家なのだ。

彼はこの天国で、現在のすべてが電子化された便利な高度資本主義生活をあざ笑うかのように楽しんで生活をしていた。

現在進行中の資本主義の一種の自壊現象がおきている中で、ちょっと不便なぐらいの生活が今後生きる現代人に求められている(商品化されてない本当のエコライフ)と考えている自分にとって、理想の家であると思った。

秋光-Autumn Light

やっと涼しい季節になりました。夕暮れ前の公園で佇む人達。幸せのひと時です。